知識や文化を発信する拠点として重要な図書館。
すべての人にとって身近な存在であり続けようと、「移動図書館」が海を渡って活躍しています。
(2022年7月OA)
図書館は海を渡って
興居島に向かう、愛媛県松山市の移動図書館「つばき号」です。
(松山市立中央図書館・藤原 敏貴主幹)
「昭和48年からサービスを開始している。図書館から離れた地域、図書館を利用しにくい人を対象に、郊外にステーションを設けて巡回している」
4台の移動図書館を運用する松山市。
海を渡った先に住む人たちにも本を届けます。
(利用者の女性)
「来てくれるので、わざわざ船に乗って行かなくてもいいので、助かっている」
音楽が知らせる到着
流れる音楽が移動図書館の到着を知らせます。
この日は晴天。
朝から30度を超す真夏日でしたが、本を待つ人たちが次々に訪れます。
(利用者の女性)
「楽しみにしている。もう80代になる。20年近く利用している、好きだから本が。出掛けたら借りている。(どんな本を読む?)時代劇」
思い込められた3000冊
乗せられているのは、およそ3000冊。
図書館本館の蔵書60万冊には及びませんが、話題の新刊や時代小説、ミステリーなど、幅広いジャンルから厳選された本が並びます。
(移動図書館を運転・山本 博美さん)
「大活字といって、すごく大きな文字の本。(お年寄りの方とか?)そう。メガネを掛けて見るより楽という人もいるし、重いので文庫本の方が良いという人もいる」
もちろん児童向けの本もあります。
孫に読むための本を探す人
(利用者の女性)
「孫を見るために来た、岩手から来た。犬も連れて、皆で来た」
孫に読むための絵本を探しているそうです。
(利用者の女性)
「(何冊くらい借りた?)絵本が5冊に、アンパンマンの紙芝居」
夏休み期間に合わせた特設コーナーを見に来たのは、親子連れ。
自由研究の参加になる本を探す人
(利用者の児童)
「(小学校?)2年生」
「自由研究の参考になりそうな本を借りに来た。(どんな自由研究をやってみたい?これから考える?)うん」
恐竜の本などを借りて行きました。
テレビがあまり好きじゃないから本を探す人
(利用者の女性)
「テレビはあまり好きじゃない。テレビを見ないから本を読む。1日大体1冊」
移動図書館が、1カ所に留まっている時間は20分程度。
その短い時間に、多くの人がそれぞれの目的で本を求めてやって来ます。
(利用者の男性)
「(ここにある本は)大体読んだが、1回読んだ本でも、ちょっと古い本ならもう1回読む」
農業の専門書をリクエストする人
こちらの男性は、専門書をリクエストしていたようです。
(利用者の男性)
「ミカン農家をやっている。ネットで検索すると、書架にあるが、移動図書館で予約したら持ってきてもらえる。すごく昔の絶版になってる本などがあったりする」
利用するようになって5年になるという女性は。
時代劇を見て本をリクエストする人
(利用者の女性)
「(今回何かリクエストをした?)そう、時代物を見ていたら白洲次郎が出てきて、ああっと思って。(本はだいぶ読む?)乳母車使って歩き出したら、出ていけないので、本ばかり。暑いし。もう畑仕事も辞めたので」
最近は、歴史ものにはまっているそうです。
「(次も何かリクエストを?)した。紙を渡した予約の。これをもらって帰って、読みたい本をこちらで言ったら、次回持ってきてくれる」
(移動図書館のスタッフ)
「歴史の本は、車の反対側に色々あるので、もしよかったら」
「きょう3冊も借りた。2週間では読めないので、次借りる」
(移動図書館の業務責任者・森 光男さん)
「2週間に1回しか、興居島には来ないので、移動図書館が来るのを楽しみにしている人がたくさんいるので、待ってくれている人たちに本を届けることを、我々も楽しみにしている」
図書館本館には無い距離感
(松山市立中央図書館・藤原 敏貴主幹)
「(本館には無いこともある?)それはすごくある。ここの場合は『暑いのにわ
ざわざ来てくれたの』とか声を掛けてくれたり『前に借りた本面白かったよ』とか。利用者との距離が近い」
本を読むことで得られるのは、知識だけではないのかもしれません。
(移動図書館を運転・山本 博美さん)
「年配の人などは遠くへ行ったりとか、自分で車を運転して図書館へ行けないので『ここまで来てくれてありがとう』みたいに言われると、ああ良かったなと思う」
心に潤いを与え、文化的な暮らしを支える本。
(松山市立中央図書館・藤原 敏貴主幹)
「子どもたちにも利用してもらい、本に触れ合う機会をどんどん増やしていってもらえれば」
地域に根付いた持続可能な取り組み、移動図書館。
多くの人たちに本を届けるため、きょうも走り続けます。
【2022年7月「Nスタえひめ」で放送・特集「未来を変えるSDGsより】
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