有名人のなりすまし広告。被害者がメタ社を提訴しました。

 (前澤友作さんのフェイク動画)「こんにちは。私ゼンザクユウサは、日本人に高収入をもたらす新規の投資プロジェクトをご紹介したいと思います」

 投資を勧める実業家の前澤友作さんのフェイク動画。今このようなSNS上で有名人になりすまし投資詐欺に誘導する偽広告があふれ問題となっています。

 4月24日、新たに茨城県に住む70歳の女性が、SNS上で経済アナリスト・森永卓郎さんや実業家の堀江貴文さんをかたる投資詐欺の被害にあい、約7億円をだまし取られたことがわかりました。

 警察庁によりますと、こうしたSNSをつかった投資詐欺の被害額は2023年の1年間で約278億円にのぼるということです。

 被害が相次ぐ現状に、利用された有名人らは偽の広告の掲載を許しているフェイスブックなどを運営するメタ社に、怒りの声をあげています。

 (堀江貴文さん 4月10日)「削除しろ削除しろってもう1年以上言っているんです。ずっと」
 (前澤友作さん 4月10日)「メタだけは本当に怒っています。規制を僕らがかけることはできないので」

 メタ社は声明を発表し、詐欺広告について『インターネットを通じて世界中の人々を標的とする社会全体の脅威』などとする一方、広告の審査を人による審査と自動検知を組み合わせて行ってはいるものの数が膨大なため課題がともなうとしています。

 前明石市長の泉房穂さんも怒りの声をあげています。自身もなりすまし広告に利用され、メタ社に何度も削除要請をしてきたといいます。

 (前明石市長 泉房穂さん)「メタ社の担当者から私に連絡が直接来て、『申し訳ございません。対応しますから』と連絡がきたところです。ちょうど24日連絡がきた」

 しかし、4月25日朝にもフェイスブックに泉さんになりました広告が出ていました。

 (前明石市長 泉房穂さん)「そうそう、これです!これもそうです」
 (清水麻椰アナウンサー)「書いている文章などを泉さんが書いている文章だと思い込みそうになる」
 (前明石市長 泉房穂さん)「そうでしょ!私自身が最初これを見た時に、え…こんなん私作ったっけ?と。自分自身が見てもすぐに気づかないです。本当に違いがまったくわからない状況になりつつありますね、今は。逆にある意味疑いの目をもって見ていただかないと、私が加害者の広告塔に使われている状況は現実にありますから。しばらくもう“泉房穂は信頼しない”ぐらいの方がいいかもしれません…と私が言わざるを得ない」

 こうした中、なりすまし広告による投資詐欺の被害者たちが、4月25日についに提訴に踏み切りました。訴えを起こしたのは前澤友作さんなどの偽の広告を見て被害にあった神戸市などに住む男女4人です。原告の1人で2000万円あまりをだまし取られたという60代の女性は次のように話します。

 (原告 2000万円の被害を受けた60代女性)「偽の広告見てだまされて、LINE上で資料という名目でお金を入金させられて、結局は出金できなくなって。私たちは偽の広告さえなければ被害にあわなかったわけですよね。偽のものなのか本物なのかっていうのを全く選別できない状態で垂れ流しているわけなんです。許せないですね」

 4人は、広告内容の真実性を確かめる義務があるのに調査確認せずに虚偽広告を掲載したとして、メタ社の日本法人に対して総額約2300万円の損害賠償を求めています。

 (原告代理人 国府泰道弁護士)「広告媒体が社会に被害をもたらす広告を漫然と放置することが、社会的に許されないことなんだということを、きちんと明らかにしたい」

 提訴を受けてメタ社の日本法人は「個別事案について回答を控える」としています。

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