全国で、鹿と衝突する事故や、鹿によって人がけがをするケースが相次いでいます。いまの時期、衝突事故の危険性が高くなる理由とは?

また、夜道や山道を運転していて鹿などの野生動物と衝突した時、どうすればいいのでしょうか?事故が起きた場所によって、連絡先が違うそうです。

納車したての車に… “気付いたら正面に鹿”

9月22日午後8時ごろ、熊本県菊池市の国道325号を走る車。前方を走る別の車もなく、あたりは真っ暗です。すると次の瞬間…鹿と衝突しました。

車を運転していた男性(20代)「ただただ驚きです。街灯があまりない場所で、結構暗い道路だった。気付いた時には正面まで鹿が来ていた」

鹿は、2車線ある国道の中で立ち止まっていました。車はエンジン部分まで大きくへこみ、男性は納車して間もない車を廃車にするしかありませんでした。

記者「鹿に衝突した車の前方は大きくへこんでいて、鹿についていた泥でしょうか、車体は茶色く汚れています」

警察によりますと、この事故の前後1週間に菊池市付近では、少なくとも鹿と車の衝突事故が3件あったということです。

鹿の目撃 増えるワケ 動物園に聞いてみた

国道沿いで目撃された鹿(10月15日撮影)

熊本県内では例年、いまの時期に市街地で鹿が多く目撃されています。10月3日には、熊本市中央区の白川にかかる明午橋の近くで。8日にも白川の別の場所で。15日は荒尾市の国道沿いでも鹿の姿が見られました。

なぜ鹿の姿が多く見られるのか。県内に生息するキュウシュウジカを飼育している熊本市動植物園に話を聞きました。

熊本市動植物園飼育員 坂井小春さん「冬に向けての『食い込ませ』の時期と繁殖シーズンであることが考えられる」

いまの時期、鹿は冬を乗り越えるために普段よりエサを多く食べ、脂肪を蓄える準備を始めます。そのため、エサを求めて行動範囲は広がるといいます。

坂井さん「昼も夜も、基本的にはご飯を食べるために活動しています」

鹿とぶつかったら「交通事故」対応は?

夜道などでは、急に飛び出してくる野生動物をよけきれず、はねることもあります。では、野生動物との衝突事故を起こしたあとどうすればいいのでしょうか?

県の担当者は、「まずは警察に連絡してほしい」と話します。

土木部 道路都市局 道路保全課 本田太郎さん「動物とぶつかることも交通事故になります。また、道路交通法で事故を起こした場合の報告義務があるので、まずは警察に110番などで連絡をしてもらいたい」

そして、事故で野生動物が死んだ場合、各道路の管理者への連絡も必要になるということです。

本田さん「道路上にイノシシや鹿など大きい死骸があった場合は他の事故を誘発する恐れがあるので、事故を防止するためにも(管理者に)連絡していただければ」

まずは事故を起こさないことが最優先。県警は野生動物との衝突事故を防ぐため、

▼日が暮れたらハイビームに切り替えること ※対向車がいない場合
▼山道を走るときは速度を落とすこと

を呼びかけています。

「道路の管理者」ってどこ? 知っておきたい『道路緊急ダイヤル』

復習です。野生動物とぶつかったら、110番。野生動物が死んだ場合、道路の管理者にも連絡。

では「道路の管理者」とは、具体的にどこに連絡すればいいのでしょうか?

熊本県内の道路の管理者は以下のようになっています。

【国道3号・57号・208号】国土交通省
【その他の国道・県道】県の地域振興局や広域本部

ただし、熊本市内を通る国道や県道の管理者は「熊本市」、県内の市町村道は「各市町村」…と、管轄はとても複雑です。

そこで、24時間つながる道路緊急ダイヤル「♯(シャープ)9910」を活用して下さい。

「♯9910」に電話をすることで、各道路の管理者へ代わりに連絡してくれます。また、事故時以外にも道路の損傷や異常などを見つけたら、連絡する窓口になっています。

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