能登半島地震など大規模な災害の際、介護が必要な人や障害のある人など、いわゆる「災害弱者」をどう守るかが課題となっています。災害時、何が必要でどこに逃げればいいのか。日常的な医療ケアが必要な子どもたちとその家族を取材しました。
母親 村上梨詠さん「本当に怖いなと思いました。今さくらはまだ抱っこで逃げれるけれど、今後大人になったら、もしこのような災害があったら助けてあげれないんじゃないかと思う気持ちが大きくて、すごく不安です」
こう話すのは富山県氷見市の村上梨詠さんです。二女のさくらちゃん(9歳)は、生まれつき脳のしわが少ない「滑脳症」という10万人に1人の難病を患っています。
身体的、知的に重度の障害があり、話すことも歩くこともできません。
能登半島地震、そのとき医療的ケア児は…
さくらちゃんは、てんかん発作が起きるため薬の服用が必要で、発作を緩和させるための装置が胸に埋め込んであります。日常的に医療ケアが必要な、いわゆる「医療的ケア児」です。
今年1月1日、さくらちゃんら家族は、父親の樹央さんの実家がある富山県魚津市で地震にあいました。
母親の梨詠さんはさくらちゃんを守るように覆いかぶさったそうです。揺れがおさまり、家族で高台へ逃げようとしましたが…。
母親 村上梨詠さん「さくら、てんかん持ってて、薬を飲まないと駄目なので、もう津波のことよりさくらの薬が気になって、すぐ氷見に戻りました」
さくらちゃんのてんかんの薬を持っていなかったため、自宅に向かった村上さん家族4人…、午後6時ごろ氷見市内の自宅に着きました。
自宅に大きな被害がありませんでしたが海が近かったため、津波をおそれ薬やオムツなどを持って避難することにしました。
近くの避難所が被害を受けていたため、離れたふれあいスポーツセンターへ…。しかし駐車場がいっぱいだったため途方に暮れたといいます。
母親 村上梨詠さん「(さくらちゃんは)いつもこのように横になってることが多いので、いつまでもチャイルドシートに、1、2時間ならいいですけど、それ以上となったら、ちょっときついなと思って。ゆっくり休めるところに避難したいなと思いました」
自力で避難できない「災害弱者」を支える…
地震発生から3時間。さくらちゃんを連れての避難に限界を感じていたとき、親戚から教えてもらい、ようやく朝日丘小学校に避難することができました。しかし…。
母親 村上梨詠さん「ざわざわしていて、さくらは聴覚過敏も持っているので、静かな場所じゃないときついなと思ったので…。教頭先生がいらっしゃったので、さくらの状況を話してみたら保健室を使っていいよということだったので、静かな環境でベッドを使って休ませてもらうことができました。さっちゃんのことを思うと、ありがたいなって…」
午後8時。ようやくさくらちゃんを横にして休ませてあげることができました。薬を飲ませてあげることができたため、てんかんの発作も起きませんでした。
当時を振り返って…。
父親 村上樹央さん「(避難所に入るための)準備とか、ちゃんとせんなんなって思いましたね」
母親 村上梨詠さん「ご飯も足りないし、オムツも足りないし服も足りないし、1人で何もできないので、3日分は持ち歩かないといけないなと思いました」
地震後、さくらちゃんが利用しているデイサービス施設と協力し、3日分を想定した持ち物リストを作成。必要なものをまとめるとさくらちゃん一人でバック2つ分に…。
さくらちゃんのように自力では避難できない「災害弱者」をどう支えるかが全国的に課題となっています。
当事者と専門職をつなげることがポイント
福祉防災学が専門で、特に大災害からの長期的な生活復興や配慮が必要な人への支援などを研究している同志社大学の立木茂雄教授は…。
同志社大学 立木茂雄 教授「障害者向けのサービスのケアプランを作る方々、相談支援専門員さんと、あらかじめ災害になったときにどんなふうにするのか、普段のケアプランと合わせて、災害時のケアプランもあらかじめ作っておく。
リスクの高い方々に関しては、行政が主導して地域の方と当事者、専門職を、つなげるげるような働き方を進めてください。これが令和の取り組みのとても重要なポイントなんですね」
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