料理評論家の服部幸應さんが、10月4日、急性心不全で亡くなりました。78歳でした。料理の楽しさを伝えるため、亡くなる直前まで仕事をしていました。その急性心不全とは、どのようなものなのでしょうか。
■医師「急性心不全は予兆なく、数分で亡くなる場合がある」
井上貴博キャスター:
服部幸應さんは服部栄養専門学校の校長で、2020年には食育の普及に尽力したことが評価され、旭日小綬章を受章しています。
10月4日、専門学校で倒れ病院に搬送されましたが、急性心不全で亡くなりました。当日もラジオ収録をしていたそうで、いかに突然のことだったのかがわかると思います。
急性心不全とは、急激に心臓に負担がかかり、呼吸困難や血圧変動などの症状が出るものです。
心不全の患者を多く診療している、大島医院の大島一太院長は「急性心不全は予兆なく、数分で亡くなる場合がある。若い方でも発症することも。特に冬は心臓に負担がかかりやすいので患者が増加する」としています。
また、大島院長は「心不全とは心臓に負担がかかった状態のこと。必ず原因となる病名がある」とも話しています。具体的な病名としては…
●虚血性心疾患(心筋梗塞、狭心症など)
●心筋症
●心臓の弁膜症
●不整脈
これらを総称して心不全と呼び、その急性なものが急性心不全ということになるそうです。
心不全の患者数(推計)は、2020年に120万人を超え、このあとも増えていくだろうと推測されているようです。
2020年にがんと診断された数は94万5055例なので、がん患者よりも心不全患者が多いのが日本の現状だといえそうです。(国立がん研究センターによる)
■心不全の初期症状は息切れ・むくみ・だるさ
井上キャスター:
慢性心不全の初期症状としては、▼息切れ、▼手足のむくみ、▼だるさが挙げられるということです。
大島院長によると、「約2週間前から息切れなどの症状が出ていても、患者の多くは見過ごしている」ということです。悪化すると、心臓の機能が低下してしまい、死に至る場合もあるといいます。
心不全の5大リスクは…
【心不全の5大リスク】
●家族に心臓の病気をした方がいる
●高血圧
●糖尿病
●脂質異常症
●喫煙
大島院長は「心不全は生活習慣を見直すことで未然に防ぐことができる。健康診断などで日頃から自分の体の状態をよく見ることが重要」としています。
ホラン千秋キャスター:
別れはいつも突然で、本当に驚くことやショックなことがたくさんあります。
心不全にもさまざまな種類があるとのことですが、症状が出たとしても適切に対処すれば亡くならない可能性もありますし、普段からできることもあるようです。
産婦人科医 宋美玄さん:
服部先生のことは直接は存じ上げませんが、飲食関係の友人はすごくショックを受けていました。若くて元気な方が突然亡くなられることもあるようで、やはり心臓の病気は怖いと思います。
私は循環器に詳しいわけではありませんが、心不全は何らかの予兆がある人が多いと聞く一方、胸の痛みなどをなかったことにして無視している人も多いと聞きます。放っておかないほうがいいと思います。
ホランキャスター:
「ちょっといつもと違うな」「この痛みは今まで感じたことがないな」と思ったら、そのサインを見逃さないのが大切だということですよね。
産婦人科医 宋美玄さん:
ある程度の歳になると、健康診断で高コレステロール血症に引っかかったり、糖尿の気がみられたりしても放置してしまう人が多いと思います。それでは健康診断を受けている意味がないので、治療したほうがいいと思います。
運動や食生活もそうですが、健康診断はちゃんと受けて対応したほうがいいと思います。
■あてはまる? 心不全のチェックシート7項目
井上キャスター:
心不全の予兆はどうつかめばいいのでしょうか。日本循環器学会によると、心不全チェックシートとして7項目が挙げられています。
【心不全チェックシート】
●靴を履くときなどに息が苦しくなる(息切れ)
●夜間に咳がでたり、横になると息苦しくなる(息切れ)
●息切れ・胸痛・胸部不快感・動悸がある(息切れ)
●夜間、おしっこに起きることが多い(むくみ)
●1週間で2キロ以上の急激な体重増加がある(むくみ)
●手足がむくむ(むくみ)
●手足が冷たく、慢性的な疲れを感じる(だるさ)
この7項目中、2つ以上あてはまる方は病院受診の目安にするとよいそうです。
ホランキャスター:
小さなサインを見逃さないように気をつけたいものです。
==========
<プロフィール>
宋美玄さん
産婦人科医 2児の母
女性の健康などのテーマを発信
鄭重声明:本文の著作権は原作者に帰属します。記事の転載は情報の伝達のみを目的としており、投資の助言を構成するものではありません。もし侵害行為があれば、すぐにご連絡ください。修正または削除いたします。ありがとうございます。