航空路線やクルーズ船の再開で観光需要が回復している沖縄。2023年度に沖縄を訪れた外国人観光客は、前年度から一気に約5倍に増えて126万人となった。急激な増加の原因はコロナ禍収束の反動だけなのか。背景を探った。

インバウンド 3大都市圏の次に伸びているのが「沖縄」

沖縄を訪れる外国人観光客といえば、多くがアジアの各国、地域からの客が中心だった。しかしここ数年は、欧州、米国、豪州(オーストラリア)からの旅行者が増え始めている。

観光庁によると、コロナ禍前の2019年と比較した欧米豪からの観光客の伸び率が、沖縄は51.9%と、3大都市圏を除いた地方で最も高くなった。街を歩く観光客になぜ沖縄を選んだのか聞いてみると―

▽フランスからの観光客
「周りは日本に関して東京や大阪、京都のことばかり話すが、もう少し有名じゃないところに行きたかった」

「欧米豪」からの沖縄観光はコロナ禍前と比べても約1.5倍


▽オランダからの観光客
「これまで9回、日本に来たことがあって、日本に来るたびに新しい場所に行くことにしている。沖縄はまだ1度も行ったことがなかったので、今回は沖縄に来ました」

▽ドイツからの観光客
「はじめに東京と大阪を旅行して、海でシュノーケリングをしたかったので沖縄へ」

話を聞くと、日本の都市圏を訪れた観光客が、次の旅行先として沖縄を選ぶ傾向が見えてきた。


沖縄の観光戦略を手掛ける沖縄観光コンベンションビューロー(OCVB)によると2023年度、国内線を経由して沖縄県内を訪れた外国客は推計で25万人。そのうち約7割を欧米からの観光客が占めている。その背景について担当者は―

▽OCVB 新本康二 課長
「訪日旅行全体が、円安の影響を受けているとは思います。ただ北海道や、特に沖縄に関しては飛行機を使わなければ来られない場所ですので、円安がすべての理由ではなく、沖縄の魅力を感じていただいている」

沖縄観光コンベンションビューロー 新本康二 課長


都市部にはない沖縄ならではの魅力。そこに注目が集まり始めているようだ。

▽アメリカからの観光客
「全て。とにかく全部が大好き!ここに引っ越したいくらい」

ー沖縄の食は?

「とても美味しい。アメリカよりも良い」

沖縄に引っ越したいくらいだと語る米国人観光客


▽アメリカからの観光客
「シュノーケリング(で見る海)は綺麗で、食事も最高です」「人もとても優しく、礼儀正しい」「ごみが全くないことも感動した」

「自然」「文化」「人」といった沖縄の持つ魅力は、“欧米豪”の求める旅行スタイルとの親和性が高いという。

▽OCVB 新本康二 課長
「アジアのお客様は主にテーマパークとか、観光施設でのアクティビティの消費活動が高いというデータが出ています。比較して欧米のお客様は「体験」ですね。沖縄に来る“欧米豪”のお客様は、体験、歴史、文化。このあたりに興味を持っているのがわかる」

県も誘致活動に力を入れている。欧米系の観光客は滞在日数が長いという特徴があり、消費額も大きくなるからだ。

今年8月には、オーストラリアのシドニーで開かれた商談会で、現地の旅行会社などに沖縄をPRした。沖縄のブースには多くの人が詰めかけた。

国際商談会で沖縄をアピール(豪州・シドニー)


ー商談会の様子ー
「ここが宮古島です。飛行機で行くことができます」
「(商談相手)どこから?」
「那覇からと、東京からの直行便もあります」

▽県観光振興課誘致企画班 天野芳昭 主査
「沖縄の認知度がまだまだ上がっていない。認知度を高めて、現地の方々に知っていただくために今回出展して、旅行会社を中心に沖縄を紹介している」

▽商談会参加者
「とても行きたくなる素敵な場所だと思います。沖縄へ行くのが待ちきれません」

現地旅行会社の認知進めば今後インバウンドは増大


急速に拡大するインバウンド需要。選ばれる観光地になるために、沖縄の魅力をどう発信していくのかが今後重要となりそうです。

<取材MEMO>
欧米豪からの人気の高まりを感じさせる一方、取材では「移動手段に困った」「飲食店で英語のメニューがなく注文に手間取った」という声も聞かれました。交通アクセスの改善や多言語対応など、受け入れ態勢の整備も今後大きな課題となりそうです。
人出不足やオーバーツーリズムといった課題に対応しながらもこういった新たな需要をしっかりと取り込むことがこれからの沖縄観光の発展に繋がっていくと感じました。(取材 仲田紀久子)

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