当初、京都府立植物園(京都・左京区)の隣に建設が予定されていた「アリーナ」は、植物などへの影響が懸念されるとして計画断念。そのため向日市内で改めて計画されますが、再び周辺住民からの憤マンの声があがっています。
当初の建設予定地は「植物園」のすぐそば 植物への悪影響を懸念する声が続出し断念
西日本でもっとも小さい市、京都府向日市。JRや阪急の駅があり、京都市内や大阪方面へのアクセスが良いベッドタウンです。今、この街で計画されているのが、競輪場を建て替えて、余った敷地でアリーナをつくる、というものです。
市内にある向日町競輪場。京都府はこの敷地の中に、スポーツ大会の誘致なども可能な8000人以上を収容できる屋内スポーツ施設「京都アリーナ(仮称)」を建設しようとしています。ただ、この計画はもともと別の場所で進められていました。
この計画が持ち上がったのは5年前。当初の建設予定地は、京都市内にある府立植物園のすぐそばの敷地でした。
しかし、去年3月の住民説明会で…
(周辺住民)「なんで今のすばらしい植物園をそのまま守らないんだろう」
(周辺住民)「日が当たらなかったら、植物が育たないでしょう、ほとんどの植物が。計算されたんでしょうか」
周辺の住民からは、アリーナ建設に伴って植物園も再整備することになり園内の木が伐採されるおそれがあることや、巨大な施設が真横にできると植物の生育に悪影響が出ることを懸念する声が続出。府は今年3月、京都市内でのアリーナ整備を断念しました。
そこで新たな建設地として決定されたのが、向日町競輪場の敷地。競輪場は1950年に開設され、老朽化が進行しています。
府は競輪場を建て替えてそのエリアを縮小し、余った敷地を利用してアリーナを建設、2028年秋までの開業を目指しています。ところが今、向日市の住民からも憤マンの声があがっているのです。
競輪場の周辺は片側一車線の狭い道…レースが終わる時間帯は渋滞が続く
50年ほど前から向日市に住む橋本栄さん(76)。この計画に大きな不安があるといいます。
(周辺住民 橋本栄さん)「(この周辺は)もともと道が狭くて、混む道路ということで有名なんです。それがアリーナができることによって、今よりもさらに混雑、渋滞がひどくなるんじゃないか」
実際、競輪場の周辺は片側一車線の狭い道が続き、車同士のすれ違いが難しい場所も。競輪場でレースが終わる時間帯に取材してみると…
(記者リポート)「午後4時半前です。競輪場前の信号は青になっていますが、渋滞が発生していて、車が前に進めない状態です」
さらに、別の道でも…
(記者リポート)「こちら、競輪場へまっすぐ続く道でも、車の列ができています」
車道だけでなく歩道も狭い 周辺住民からは混雑について心配の声
また、住民が心配するのは車道だけではありません。競輪場の入り口から200mほどの所に住む村山晃さん(78)は、周辺は歩道も狭いため、近くの小学校に通う孫の通学路がどうなるのか心配だといいます。
(周辺住民 村山晃さん)「小学校もあるし、いろんな人が群れを成して、もしここを人が通るような事態になったら、僕らもうそこへ近寄れないですよね。競輪のお客さんとアリーナのお客さんも重なったらどうなるんやと。もっと恐ろしい事態ですね」
府は周辺の道路の道幅を拡げる方針です。ただ、大部分について用地の取得ができておらず、工事がいつ行われるかは不透明です。
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