熊本県内でも、コロナ禍で減っていた外国人観光客をよく見かけるようになりました。その要因の1つが、去年(2023年)9月に就航した熊本と台湾(台北)を結ぶ定期便です。インバウンド増加の現状に迫ります。(2024年9月19日放送)

航空各社も体制強化へ

――熊本で何が楽しみ?
台湾から来た人「熊本城」「火山が楽しみ」「ワンピース」

台湾の定期便の平均搭乗率は85%と、いまのところ安定飛行です。就航当初は週7便でしたが徐々に便数を増やし、今年3月からは週12便になりました。

県交通政策課 黒川賢一郎課長補佐「TSMCの進出などもあって、熊本そのものの認知度や熊本空港の認知度が海外において高まっている。多くの台湾のお客様の賑いが増えてきたと感じている」

現在、毎日運航しているスターラックス航空は機体の大型化を決定。10月からは現在使用中の機体に加え、定員が約1.5倍の機体を導入します。

さらに、チャイナエアラインは、鹿児島や宮崎でも運航する熊本を『南九州の拠点』として、熊本支店のオープンに向けて準備を進めています。

これだけ増えた!台湾からの宿泊客

熊本を訪れる台湾からの宿泊者は就航前は8万8060人でした。就航後は32万4690人と3.7倍になっています。

特に台湾からの観光客に人気なのが熊本城です。去年、海外からの観光客は中国や韓国を抜いて、台湾が1位になりました。こういった逆転現象は買い物を目的に訪れる場所でも見受けられるようです。

“爆買い”→高級志向・普段使いに

熊本市の鶴屋百貨店の免税品売り上げは8月、過去最高を記録。これまでは中国からの観光客がトップでしたが、台湾が逆転し、4割を占めています。

鶴屋百貨店広報 入江光彦さん「インバウンドで、3月から8月の半年で去年1年間を超えるような実績を作っています。台湾の直行便が就航したこともあって、台湾の方が人数、売り上げ共に1位となっています」

さらに、円安の影響も相まって海外高級ブランドや国産のコスメの売り上げが好調だということです。

入江さん「昔みられたような“爆買い”はほとんどないですが、高額品のお買い上げが目立つようになったのでその分売り上げも伸びている」

海外でも展開する靴小売り大手『ABC ‐ MART』の店舗では、定期便就航前の年と比べて、台湾からの客の来店数も売り上げも4倍以上になりました。

ABC ‐ MART 天野菜奈さん「3世代で来て、まとめて買って帰る客も多い」

円安の影響もあり「旅行先で高級品を買う」だけでなく「普段使いできる良い物を安く買う」という客が増えているようです。さらに、土産として友達や家族に購入する人もいるといいます。

天野さん「動画やテレビ電話で繋いで、『このサイズありますか?』と言われる方も多い」

今後の課題は?

定期便の日本人の利用率は10.7%で、熊本県が目標とする20~30%には届いていません。

県民の利用を促すため、県は県民が2人以上で国際線を利用する場合は1人あたり5000円を補助しています。また、TSMCの工場がある菊陽町は独自に台湾旅行の費用を町民1人あたり1万円を補助します(先着500人)。

さらに熊本空港を運営する熊本国際空港は、国際線利用者に空港駐車場の料金を最大で1台8000円助成しています。

定期便の維持には、双方向の安定的な需要が必要です。熊本から台湾への旅行客をどのように増やしていくかが、今後のカギとなりそうです。

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