毎年10月7・8・9日の3日間行われる「長崎くんち」。大人も子どもも町を上げて稽古に励む「長崎くんち」は日本一練習する祭りとも言われ、その完成度の高さは一度見た人の心をとらえて止みません。コロナ禍で3年間の休止を挟み、10年ぶりの出演となることしの7か町。本番までの稽古の様子を諏訪神社前日の奉納順にシリーズでお伝えします。
「第六番」は「担ぎ物」鯱太鼓を奉納する銀屋町です。心をひとつにだしを天高く上げる担ぎ手たちの姿を追いました。
「据太鼓」が10年の眠りから黄金の鯱を呼び起こします。
波と化し、鯱を天まで飛ばすのは38人の担ぎ手たちです。
担手・河村賢太さん:
「男くささですかね。男らしさというか荒々しい部分を見せて、鳥肌が立つような感じが魅力だと思います。」
銀屋町は中島沿いから伸びる一本道を挟んだ町です。出島に輸入された金銀のボタンを帯留めに加工する銀細工職人が住んでいたことが町名の由来と言われています。
奉納する鯱太鼓は「天空を目指す鯱が、黄金の龍となり人々に吉祥を招いた」という「蓬莱鯱」伝説がもとになっています。長崎大水害からの復興を願って1985年に初めて奉納されました。
最大の見せ場は750キロを超える「だし」を空に放って片手で支える「上げ」です。
長采・髙田雄康さん:
「5本集中して。自分たちが上げてやる気持ちで。それでちょっと見せてくれ。」「はい!」
担手・河村賢太さん「しゃーいこーでー!」
人一倍声を響かせていたのが2度目の出演となる河村賢太さん。6割が新人の担手たちを奮い立たせます。
担手・河村賢太さん:
「自分が一番盛り上げて雰囲気良く全体的にいいものができればいいなと思って結構声も出させてもらってます。」
河村さんの声は同じ棒を担ぐ先輩も支えています。
棒先・岩頭勇志さん:
「今回も同じ5番棒でもう一回河村と担げるのはやっぱ嬉しいすよね。」
担手・河村賢太さん:
「自分たちの棒のトップでみんなの面倒を見てくれてるんで、前回後ろを担いでた信頼もあるので岩頭さんのためにっていうのはあります。」
今年初共演する親子がいます中野奈緒さんと息子の葵くんです。4度目の出演となる奈緒さんは据太鼓のリーダー。葵くんはだしに乗って太鼓を叩き動きにリズムを与えます。
中野葵くん「嬉しい、俺は嬉しいよ。」
中野奈緒さん「一緒に叩けるのは嬉しいね。」
中野葵くん「一緒に叩けるのめっちゃ嬉しい。」
中野奈緒さん「出れるの嬉しいね。」
8月後半、担手たちは「上げ」の稽古を繰り返しました。
38人の動きと心を揃えより高くより真っすぐ上げる感覚をつかみます。
長采・髙田雄康さん「体で感じて体で覚えるしかない。そういうのも踏まえたところで心意気ですよね。心を合わせてバンっと上げる」
7月から鯱を上げはじめて2か月。上げた回数はすでに900回に及んでいます。
担手・河村賢太さん:
「本番まだまだ上げれると思います。コロナで3年間我慢してきた分、10年分の思いを当日にぶつけて最後にみんなでよかったって言えるような奉納できればいいなと思ってます。」
長采・髙田雄康さん:
「練習で120パーセントがんばれと、本番で楽しもうよと」
大きな波を駆け昇る鯱が諏訪の舞台で吉祥を届けます。
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