フィリピンの東の熱帯低気圧 24時間以内に台風へ

フィリピンの東の海上にある熱帯低気圧について、1日午前9時、気象庁は24時間以内に台風になる可能性があるとして進路予想の発表を開始しました。24時間以内に中心付近の最大風速が台風の基準である17.2m/sを超えると予想されています。
このあとフィリピンの東の海上を北上して、6日(金)には台湾の南の海上まで北上する予想です。

次に台風となれば11号となる見込みですが、日本の東にあるトロピカルストーム「HONE」が日付変更線を超えて気象庁の監視領域に入ってきた場合は、HONEが先に台風11号となるかもしれません(詳細は後述)

気象庁が週間天気予報の作成などに用いる資料の一つであるアンサンブル予報による地上天気図をみてみます。アンサンブル予報とは、数値予報の計算に使う最初の値をわずかに変えたものを複数計算した結果を示してそのバラつき具合などをみるもので51通りの計算結果があります。

9月9日(月)9時の予想結果を見ると、まだ予想のバラツキは大きいですが、大陸方面へと熱帯じょう乱を進めるメンバーが多い一方で、一部は西日本の周辺に北上させるメンバーもあります。

それではアメリカやヨーロッパなど海外の予報機関はどのような進路予想なのでしょうか。

アメリカ海軍も熱帯低気圧を監視対象に 日本周辺へ北上予想も

アメリカ海軍(JTWC)

アメリカ・ハワイにあるアメリカ軍の合同台風警報センター(JTWC)の情報です。ここでは監視すべき対象となりうる熱帯低気圧についての情報や台風となった場合の警戒情報などが表示されます。

現在、日本列島付近にある台風10号とは別に、フィリピンの東の熱帯低気圧についてオレンジ色の丸で示されています。この雲域がJTWCの監視対象となったことを意味しています。

JTWCでは定めた基準以上に発達する雲のまとまりができると、LOW(黄)→MEDIUM(オレンジ)→HIGH(赤)へとレベル分けして情報を発表します。赤色になると台風の発生時期に近づいた目安となります。それぞれの意味は以下の通りです。

LOW(黄):監視対象ではあるが、今後24時間以内に基準以上の熱帯低気圧に発達する可能性は低い
MEDIUM(オレンジ):今後24時間以内に基準以上の熱帯低気圧に発達する可能性も高まっているが、発達するには24時間以上かかる見込み
HIGH(赤):今後24時間以内に基準以上の熱帯低気圧に発達する見込み

アメリカ海洋大気庁(NOAA)

アメリカ海洋大気庁の240時間先までのアンサンブル予想結果です。まだ進路予想にかなりのバラツキはありますが、フィリピンの東海上から北上して、日本周辺へと進む予想データもあります。

アンサンブル予想結果の一例として、9月9日午前9時の天気図の予想メンバー一覧をみると、日本の周辺海域に熱帯じょう乱が示されている結果も複数存在します。

ヨーロッパモデルでも一部が日本周辺への北上の可能性を示唆

ヨーロッパ中期予報センター

ヨーロッパ中期予報センターでは、ある予想時刻の48時間以内に、その場所から300キロ以内を熱帯低気圧が通過する確率を公表しています。最大風速が17メートル以上の熱帯低気圧が接近する可能性を示した確率です。

9月3日から8日にかけての予想をみると、確率の高い領域が、フィリピンの東海上から次第に沖縄周辺の海域へと移動していくことがわかります。沖縄周辺の海域の方が確率が高くなっているのは、熱帯じょう乱が発達して台風となる可能性があるためだと思われます。

またアンサンブル予想の9月9日午前9時予想について全メンバーの結果をみると、バラツキは大きいですが、西日本の周辺に北上する可能性を示すメンバーもあります。

現在の北西太平洋の海面水温を見てみると、フィリピン周辺は広く30℃以上と非常に高い海域です。日本周辺も西日本の南の海上も広く30℃前後のエリアが広がっています。海水温度の面では台風は発達する環境が整っていそうです。
九州の南から南東方向に帯状に若干海水温が低くなっているのは台風10号が進んだルートの下で海水がかき混ぜられたエリアとみられます。

もしこの熱帯低気圧が台風となれば台風11号または12号となりそうです。北東太平洋にあるトロピカルストーム「HONE(ホネ)」が、アメリカの監視対象領域から日付変更線を超えて気象庁の監視対象領域に入ってくるため、これが先に台風11号となる可能性があります。

気象庁・アメリカ・ヨーロッパの予想ともまだかなり先の予報で不確定要素が多く、確定的なことを話す段階ではありません。あくまで参考程度の情報とはなりますが、少し頭の片隅にでも入れておいてもらえたらと思います。

※台風に関する情報について最終的には気象庁が発表する情報を参考にしてください

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