4年前、新型コロナのPCR検査などを行う会社の営業マンだった男性が自殺したのは「過重労働」によるものだったとして、男性の妻が23日、会社などを相手取り、1億1200万円あまりの賠償を求めて京都地裁に提訴しました。

 訴えによりますと、男性(当時41)は6年前、臨床検査などを行う京都府内の会社に入社し、新型コロナのPCR検査などに関する営業マンとして勤務していました。しかし4年前、精神障害(うつ病)を発病して自殺。労働基準監督署はおととし3月、「過重労働により精神障害を発病して自死した」などと判断し、過労死(労災)と認めました。男性が死亡する直前1か月の時間外労働は、およそ72時間、直前2か月では93時間を超えていて、仕事上のミスも起こしていたということです。

 こうしたことを受け、男性の妻は23日、「長時間労働に従事させ、心理的負荷を生じさせる複数の出来事が生じても労働時間を軽減するなどの措置を講じず、引き続き従事させた」などとして、会社と当時の代表取締役に対し、1億1200万円あまりの賠償を求めて提訴しました。男性の妻の代理人弁護士によると、この会社では2017年にも社員が自殺して労災認定を受け、遺族から提訴されていたということです。

 男性の妻は代理人弁護士を通じて、「会社がPCR検査を請け負うようになってから夫は忙しなく働いていました。自宅に帰れず、車で仮眠をとってそのまま翌日の仕事に出たこともありました。夫が自死したと聞いて、私は、仕事が夫の命を奪ったのだと思いました。実際に夫の姿を見てショックと悲しみで頭が真っ白になりました。ちゃんと責任をとってもらいたいし、夫に謝ってほしい」などとコメントしています。

 会社側は「訴状の内容を確認できていないのでコメントは差し控えさせていただきます」とコメントしています。

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