新潟県内のお寺が、ひとり親の家庭を支援する、ある取り組みを行っています。
子連れで働ける環境や、交流の場を求めるひとり親の家庭と、人手不足に悩むお寺とがお互いのお困りごとを“マッチング”!一体どんな取り組みなのでしょうか?

新潟県長岡市にある正林寺で、めいめいが掃除機やホウキを手に立派な本堂をお掃除していました。このお掃除、その名も『ダーナダーナ』という取り組みです。

【ダーナダーナ共同代表 大滝山正林寺住職 堀川真衣子さん】
「ダーナというのは『布施』という意味で、なにかを施すということなんです。お金であったり物であったり、いろいろな“施し”があると思うんですけど、ダーナダーナは、目に見えない形の施し…」

この『ダーナダーナ』。ひとり親家庭とお寺とをつなごうと、2022年から始まった試みで、宗派を超えた県内12のお寺が参加しています。
SNSでお寺が掃除や草取りなどの作業を依頼し、その作業を行ったひとり親の家庭が、1時間あたり1000円の報酬をお寺から受け取るしくみです。

【参加した母親】
「私自身、長岡に実家があるわけじゃないので…。ひとりで子どもを育てながら、本当に知り合いがいない状態で子育てがスタートしたんですけど、こういう所に来るようになって、知り合いの方が増えたのが良かったです」

ひとり親家庭とをつなぐこの『ダーナダーナ』のポイントは、子どもも一緒に参加できること。
子連れで働きに行ける場所はどうしても限られてしまうため、親にとっては貴重な機会になるのだそうです。

作業の合間には、お茶しながら会話を楽しむ時間もあります!
「なんか仏具磨きとかメッチャ良かった。無心で磨いてピカピカになる…」
「そんなのがあるんですね。知らなかった…」

3人の子どもを育てるシングルマザーで、自身もダーナダーナ運営に携わる小林友梨さんは、この“会話も含めた活動”の有意義さをこう話してくださいました。

「それぞれ、抱え込んでしまっている悩みとか家庭のこととかもあると思うんですけど、そういったものがこういうところでポツリポツリとお茶話の中で出てきて、必要によっては、専門相談につないだり、公的支援や他のサービスにつないでいったり…。話せるだけでリフレッシュになることが多いので、すごく可能性もいっぱいある活動だなって思っています」

参加した親たちにとっても、『ダーナダーナ』の作業では、手にする報酬以上の“大きなもの”が得られるようです。

「人のために役に立っているのかな、とか思うとちょっと嬉しいなって。こっちがありがとうなんですけど、お寺さんからも『ありがとう』って言っていただいて、嬉しいななんて思いますね」

実は一方で、人手不足に悩む寺にとっても、参加者たちのチカラは貴重な『助け』になっています。

【ダーナダーナ共同代表 大滝山正林寺住職 堀川真衣子さん】
「手があると、作業のはかどり方が全然違う。支え合いということが『ダーナダーナ』のテーマにもなっているので、お互いに“助け合って、支え合って”生活していけたら、こちらとしてもありがたいです」

この『ダーナダーナ』。
今後も参加する寺を増やし、支え合いの輪を広げていきたいとしています。

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