静岡市の「あさはた緑地」が、日本一のビオトープに輝きました。公園のオープンからわずか3年での受賞は、地域とのつながりも評価されました。
静岡市葵区にある「あさはた緑地」です。この日、公園内の田んぼには親子10人ほどが集まり、伝統的な農具「ころがし」を使った草取り活動をしました。
<参加した子ども>
「よし、じゃあ登って」
Q.どうだった?
「楽しかった」
<参加した保護者>
「なかなかこういった田んぼに入る経験はできないと思うので、本人もそういう傾向を見てやりたいと言ったので、ここに来るのをいつも楽しみにしている」
JR静岡駅から車で約20分。「あさはた緑地」は3年前に整備された公園です。6月、日本一のビオトープに輝きました。生態系の豊かさや環境を維持管理するシステム、教育の取り組みなどを審査する「ビオトープ顕彰」で初の応募にも関わらず、大賞を受賞しました。
<あさはた緑地管理事務所 木下聡所長>
「生物多様性、いろいろな生き物のことも考えて、のり面っていう部分とかを意図的に刈り残すことによって、この時期だとバッタが来てくれるような形で、昆虫を探してみるような遊びもしてもらえて生物多様性を感じてもらえるような工夫をしていたり」
ビオトープは地球の生物多様性が失われる中、人の手を介して環境を回復させていく「ネイチャーポジティブ」の取り組みの一つです。園内には、原っぱや水田の他に沼のような環境もあり、様々な生物が生息しています。
<あさはた緑地管理事務所 木下聡所長>
「この周辺にもいろいろな植物があるんですけど、注目していただきたいのはハート形の葉っぱの絶滅危惧種(II類)にも指定されている「ミズアオイ」。たくさん生えているものになります」
「ミズアオイ」は9月に見頃を迎え、青紫色の小さな花を咲かせます。同じく絶滅危惧種の「オニバス」なども確認されていて、展示や、植物を増やす取り組みが行われています。ビオトープ顕彰で特に評価された点は、公園と地域とのつながりです。サポーターに登録することで様々な活動に参加でき、幅広く公園を楽しむことができます。
<あさはた緑地管理事務所 木下聡所長>
「こういう植物って意図的にかき混ぜて、攪乱が起きないとなかなか芽を出さないという意味では、人がある程度入るような場所じゃないと群生して見られない」
専門家は、あさはた緑地には他の働きもあると指摘します。
<常葉大学 山田辰美名誉教授>
「これまで災害に対しても、鉄骨を使ったりコンクリートを使う、ちょっと灰色っぽいものを使うのでグレーインフラという言葉がある。それに対して草とか木とか水とか緑系をつかおうということで、今“グリーンインフラ”という考え方が提案されています」
他のビオトープは、学校や企業の敷地内にあることが多く、「あさはた緑地」は誰でも気軽に使え、豊かな自然と触れ合える貴重な場です。
<あさはた緑地管理事務所 木下聡所長>
「コンセプトが“未来につながる緑の遊び場”としているので、いつまでも完成しないで人がいろいろ関わることによって、どんどん変わっていく公園として皆さんに愛されると嬉しい」
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