「ミートショック」という言葉をご存じでしょうか?円安の影響などで、おもに輸入牛肉の価格が上がることを指す言葉です。ミートショックの影響は鹿児島県内にも及んでいて、飲食店からは不安の声が上がっています。

(記者)「暑い夏、スタミナをつけたい時に焼肉が人気です。ところが、輸入牛肉を中心に値上がりが続いていて、飲食店は厳しい経営を強いられています」

鹿児島と宮崎に17店舗ある「ふぁみり庵はいから亭」です。焼肉や寿司・釜飯など40種類以上が食べ放題となるコースが人気です。しかし、このコースが今ピンチです。

(康正産業 肥田木康正社長)「(肉の仕入れ値が)上がってくると聞いていて、実際に上がってきて。今できることは何なのか、次の一手をどうするかを考えていて、影響は今後、益々大きくなるだろうと不安や心配がある」

農畜産業振興機構によりますと、先月、市場で取引されたアメリカ産牛バラ肉の価格は、前の年に比べておよそ1.5倍高い1キロあたり1381円。こちらの店では食べ放題コースのほとんどがアメリカやカナダ産の肉で、ミートショックのあおりを受けています。

背景にあるのが、原油高騰による輸送コストの上昇。これに円安も加わり、輸入価格がこれまでより上がりました。原産国のオーストラリアの干ばつなど、気候変動も影響しているといわれています。

焼肉店の倒産件数は、過去最多だった2019年の26件を上回るペースで推移していて、信用調査会社の帝国データバンクは、影響は今後さらに広がるとみています。

(帝国データバンク鹿児島支店 日比生秀一支店長)「2024年6月時点で、全国の(焼肉店)倒産件数は全国で20件、九州は1件にとどまっているが、これからさらに増えるという予測」

また、牛や豚、鶏のエサの値段も上がっています。農林水産省によりますと、ロシアによるウクライナ侵攻などの影響で今年4月時点の配合飼料は1トンあたり9万4413円と、10年前のおよそ1.5倍です。こうした影響から、輸入牛肉だけではなく、国産牛の価格にも影響しているのが現状です。

(康正産業 肥田木康正社長)「和食と焼肉両方の食べ放題なので、全体での満足感を引きあげる努力をしている。(企業努力には)限度もある。どこかのタイミングで値上げはありうる」

一方で、大型クルーズ船の寄港や鹿児島空港の国際定期便が次々と再開したことをチャンスと捉え、外国人観光客に鹿児島黒牛などの国産牛を売り込む準備を進めています。

(康正産業 肥田木康正社長)「3万円や5万円と、もっといい肉を使って価値観のあるものをご案内する。(外国人観光客に)『鹿児島の肉は美味しいね』と思ってもらえるよう、つなげていければ」

ピンチを乗り切ろうと、試行錯誤が続く飲食店。ミートショックの影響はしばらく続きそうです。

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