「半分は1年ぐらいで撤退」と言われるほど苦戦する、飲食店の東京への出店。今話題の“東京初進出”の店を取材すると、東京ならではの”壁”、そしてその壁を乗り越えるべく各店必死の“工夫”がありました。

肉質キープに試行錯誤 名物”縦割りハンバーガー”

まずは今年、肉の街・神戸から東京・浅草に出店したバーガー店「BRISK STAND(ブリスクスタンド)」。

お客にお目当てを聞くと、口をそろえて出てきたのが…

名物「切ったやつ」。(ダブルパティ 2350円※税込)

その名の通り、分厚いパティが2枚にチーズがたっぷりはさまったハンバーガーを、縦に真っ二つに切り、断面をさらに鉄板で焼いたもの。

二度焼きすることで肉汁がさらにバンズに染みこみ、お肉のうまみを残さず味わえる一品です。

THE TIME,マーケティング部の重松文が食べてみると…「押すと肉汁がでてくる!断面が焼かれているからカリッカリなんですけど、噛むとお肉の弾力があって美味しいです」と大感激。

神戸で考案された完全オリジナルメニューがヒットし、上京2か月にしてお昼過ぎには売り切れるほどに。

さらに、このバーガー、結構なボリュームなのに女性客に人気。そのワケは食べやすさと、味付。国産の塩で肉の味を引き立て、ソースを一切使わないため、食後ももたれにくいといいます。

しかし、東京進出の裏には、試行錯誤も。それは、国産牛100%にこだわってるという、パティ。東京と神戸では、手に入る肉の質が全然違い、様々なブランド牛で何度も配合を試し、神戸と同じ味を完成させたといいます。

一方で、東京進出ではラッキーなことも…

最初は、カフェの多いオシャレタウン蔵前で物件を探していましたが、空きがなく近くの浅草に。これが功を奏して、外国人観光客の引き込みに繋がったそうです。

BRISK STAND 代表 添田有吾さん
「一応計画では(月)400万円というところのボーダーだったんですが、ありがたいことにそれは120%ぐらい達成させていただいております」

全国の飲食店動向を報じている月刊誌の編集長も、立地が大きなカギだといいます。

月刊食堂 通山茂之編集長
「体感的には、(東京に進出した地方店の)半分くらいはおそらく1年ぐらいで撤退しちゃうんじゃないかなと。飲食店って立地が8割って言われてまして、お店の立地によってすごく売り上げが左右されるんですね」

東京進出で立ちはだかった“ガスの壁”

続いては、岐阜から和菓子の激戦区、東京・日本橋に進出した「ツバメヤ」。

一番の人気商品は、わらび餅(8切入 1720円※税込)。
材料はわらび粉、粗糖、きな粉だけ。

岐阜で採れるわらび粉を使い、丁寧に練り上げたわらびもちは、弾力があるのに、瞬時にとろけるみずみずしさが自慢です。

2010年に開業し、岐阜ではお土産の定番となり、名古屋に出した2号店も人気に。

しかし、東京には何のツテもなく…

ツバメヤ 社長 岡田さや加さん
「全然土地勘もないので1年くらいぶらぶら街を歩いて。みなさん何百年の歴史ある方ばっかりなのでうちはちょっと大丈夫かなと思いながら、でも皆さん本当にいい方ばかりです」

新参者にも優しい下町人情に助けられながらも、困ったことが厨房で…

ツバメヤ 社長 岡田さや加さん
「(東京の厨房は)プロパンガスです。岐阜は都市ガスなんですけど、火力がガスとプロパンと違っていて。ゼロからレシピを構築し直した」

ガスも水も岐阜とは違う東京で、まさに一から練り直したわらび餅。徐々に立ち寄ってくれるお客さんも増えてきたといいます。

ツバメヤ 社長 岡田さや加さん
「正直あと1.5倍くらい売り上げないといけないんですけど、そこは焦らずに、地道に1年くらいで何とか軌道に乗ればいいかなと思っています」

東京進出のために数百万円かけて新技術を導入

そして、東京・新宿エキナカに、4月17日オープンした「イイトルミネ」にも、念願の上京を果たしたお店が。

〇△□(マルサンカクシカク)代表 橋本悠介さん
「めちゃくちゃやる気満々で来てるんで!すんません、関西弁で!」

大阪に2店舗を構える行列が絶えないタルトの専門店「〇△□(マルサンカクシカク)」。

一番人気は、2層に分かれたチョコレートが楽しめる生チョコのような濃厚タルト「ショコラ」。(562円※税込)

その他にもキャラメルとナッツを混ぜ合わせたタルトや、「カッテージ」と「クリーム」2種類のチーズを使ったタルトなど、10種類を用意。

そして、贈り物にもぴったりな、ある工夫が。それは、お皿もフォークもいらない食べやすさ。

1ピースずつ箱に入っているので、箱からタルトを台紙ごと引き出して、そのまま食べられちゃうんです。

タルトも女性がかじりやすいサイズを計算し、3センチの薄型になっています。

オープンした8年前からずっと、上京を夢見ていたという代表の橋本さん。

〇△□(マルサンカクシカク)代表 橋本悠介さん
「東京で有名なブランドが大阪にっていうのはよくあったことだったので、逆パターンを絶対にやってみたかったんですよね、それも東京からのオファーで。大阪も負けてないよと」

まさに今回の東京進出は、店の人気を知った新宿ルミネからのオファーだったといいます。

しかし、大きな問題が浮上。それは…タルトを作るキッチンでした。

〇△□(マルサンカクシカク)代表 橋本悠介さん
「新宿の近くで作るとなるとめちゃくちゃ家賃が高くて、そこは結構誤算でしたね」

大阪ではキッチンで作ったタルトをそのままお店に運んで販売。しかし、賞味期限はわずか2日。東京に運ぶには時間もコストも合わないんです。

そこで、数百万円かけて、商品に合わせた瞬間冷凍ができる技術を導入。東京でも作り立てを提供できるようにしたといいます。

〇△□(マルサンカクシカク)代表 橋本悠介さん
「皆さんにちょっとずつちゃんと愛されながらやっていきたいというところが一番」

安住アナ 若手アナとの世代間ギャップ痛感

スタジオでは、安住アナが開口一番「タルト、紙に乗せてたまま食べて…?」。

台紙ごとタルトにかぶりつく食べ方が気になったようで、「(食べている)後半、なんか、えずいちゃいそうだけどね」と、ならではの感想。

さらに、スタジオでは、世界的なポットメーカーの象印とタイガー魔法瓶がいずれも大阪発祥の理由をクイズで出題。

正解は、「大阪はガラス職人がたくさんいたから」。

安住アナの「魔法瓶の中は、昔はガラスでできていたため」との説明に、いまいちピンときていない若い世代の出演者陣。

この反応に安住アナは「昔は魔法瓶って水を入れる前に氷を入れると、中がガラスでできているから割れちゃったんだよね」と話すも、誰からも理解が得られず、「俺たちの世代常識なんだけど…」と、さみしく締めた。

(THE TIME, 2024年4月17日放送より)

鄭重声明:本文の著作権は原作者に帰属します。記事の転載は情報の伝達のみを目的としており、投資の助言を構成するものではありません。もし侵害行為があれば、すぐにご連絡ください。修正または削除いたします。ありがとうございます。