尾道市の進める小・中学校の新校舎建設計画について、125人の市民が8日、「既存校舎の利用を検討していない」として、新校舎建設の中止を求める住民監査を請求しました。
監査を請求したのは、市内全域からの125人の市民で、「尾道の未来を考える会」が代表して書面を提出しました。
尾道市では、元々、市中心部にあった3つの小学校と2つの中学校を、2025年春、それぞれ1校ずつに統合する方針です。
耐震強度の低さや校舎の一部が土砂災害警戒区域=イエローゾーンにあたることを理由に、2027年4月までに新校舎を建設する計画で、総事業費は合わせておよそ64億6千万円となる見込みです。
「考える会」によりますと、この計画をめぐっては、尾道市が、既存校舎の利用を検討せずに、新校舎の建設ありきで議論を進めてきたとしています。
「尾道の未来を考える会」福島光宏代表
「既存校舎の耐震補強とかそういったことをすれば、もっと安く、もっと簡単にできるはずなのにという疑念が湧きまして」「尾道の借金をたくさん抱えてる中で、さらに新たな借金を抱えてどうなんだと」
また、「考える会」によりますと、元の久保小学校と現在の久保中学校は、対策をすれば警戒区域の解除が可能だということです。
そして2校の校舎を改修して長寿命化すれば、総事業費は、合わせて27億3千万円となり、市の計画と比べて37億3千万円の節約になるとしています。
工藤勇行弁護士
「どうもこれまでの議論を見ていくと既存校舎を利用する視点が全くなかった」「これからの子供たち、孫たちの代になった時に、ここで莫大な費用を使って新校舎を、作るっていうのは本当にいいことなのか、『立ち止まって考えてください』ということでの監査請求」
会見に同席した、地方財政論を専門とする島根大学の関耕平教授によりますと、尾道市は全支出に対して、借金の返済とも言える「公債費」の割合が高いと指摘します。
さらに、借金返済能力を示す「財政力指数」が低く、全国の類似する29の自治体のうち、ワースト2位だということです。
島根大学法文学部 関耕平教授
「効率的な財政運営っていうのが、今後ますます、特に尾道市においては重要になってくる」
監査請求は、今後受理されれば、7月7日までに審査されることになります。
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